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第2回「エンゲージメント」に関するアンケート結果 年代別 やる気を引き出すポイント

第2回「エンゲージメント」に関するアンケート結果 年代別 やる気を引き出すポイント

近年、生産人口の減少や人材の流動化、消費者ニーズの多様化などにより、企業を取り巻く環境はますます厳しさを増しています。こうした状況の中、現有の従業員を最大限に活用することが大きな課題となっています。そこで注目されている指標の一つが「エンゲージメント」です。組織人事の分野におけるエンゲージメントは、従業員と仕事の強い結びつきを示す「ワークエンゲージメント」と、従業員と会社の強い結びつきを示す「組織エンゲージメント」の二つに大別されます。
インターワイヤード株式会社では、エンゲージメントに関する市場調査を実施し、業種別の分析結果を公表しました。今回は第2弾として、ワークエンゲージメントおよび組織エンゲージメントの傾向、会社の施策、マネジメント、職務設計などがエンゲージメントに与える影響について、年代別に分析しました。調査は2025年9月12日から9月18日にかけて実施し、全国の労働者1,189人から回答を得ています。

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  • ワークエンゲージメントは高年代ほど高い傾向。
  • 組織エンゲージメントは「50代」が高く、「20代」が最も低い。
  • 重回帰分析によると、ワークエンゲージメントおよび組織エンゲージメントに影響を与える要素は、年代によって大きな違いがある。会社別に分析するとさらなる違いが生じる。
  • エンゲージメント調査を実施し、自社ならではのエンゲージメント向上策を見出すことが重要。
ワークエンゲージメントは高年代ほど高い傾向。

■エンゲージメントスコア

<スコアの算出方法>
ワークエンゲージメントは仕事への活力、熱意、没頭から構成される概念で、下記3設問の平均点を下記配点表をもとにワークエンゲージメントスコアとして算出した。 組織エンゲージメントは会社との一体感や貢献意欲を表す概念で、下記3設問の平均点を下記配点表をもとに組織エンゲージメントスコアとして算出した。

■ワークエンゲージメントスコア

調査結果によれば、ワークエンゲージメントスコアは年代が上がるにつれて高くなる傾向が見られる。具体的には、「60代」が最も高く、次いで「50代」、「40代」の順であり、「30代」と「20代」の間には大きな差異が認められない。要素別に分析すると、『仕事のやりがい・誇り』と『仕事への没頭』については、「60代」と「50代」が「40代」を大きく上回り、「40代」以下の年代間には大きな差異が認められない。一方、『仕事における活力』では、「60代」が最も高く、次いで「50代」と「40代」、「30代」と「20代」には大きな差異が認められない。仕事や職場への順応段階である若年層、仕事に慣れスキルが習熟され、業務の負荷が高まり多様化する中堅年代、仕事の責任が高まり技能伝承が求められる高年代と、キャリアに合わせて仕事に対する考え方、向き合い方が変化していくことから、こうした違いが表れるものと思われる。

組織エンゲージメントは「50代」が高く、「20代」が最も低い。

■組織エンゲージメントスコア

組織エンゲージメントスコアは「50代」が最も高く、次いで「60代」、「30代」「40代」が続き、「20代」が最も低い結果となった。要素別に見ると、『理念や方針への共感』はどの年代も低く年代間の差異が小さい一方、『自社に対するブランド意識』は「50代」、『会社への貢献意欲』は「50代」と「60代」が高く、「20代」は両項目ともに低い結果となった。キャリアを積む中で、組織における自身の役割や責務が変化し、組織への帰属意識や一体感、組織のとの向き合い方に変化が生じることが考えられる。それでは、どのような施策やマネジメントが従業員の考え方や姿勢に変化をもたらすのか、エンゲージメントを高めるための要素を、重回帰分析を用いて年代別に掘り下げていく。

ワークエンゲージメントおよび組織エンゲージメントに影響を与える要素は年代によって違いがある。

<重回帰分析とは>
重回帰分析とは、設問項目を目的変数と説明変数に区分し、項目間の因果関係を導き出す分析手法である。本調査では、ワークエンゲージメントスコアおよび組織エンゲージメントスコアを目的変数とし、会社の施策やマネジメント、組織風土、仕事のあり方に関する設問を説明変数に設定した。これにより、会社の施策等がワークエンゲージメントスコアおよび組織エンゲージメントスコアに与える影響度を年代別に分析した。

■20代

ワーク、組織エンゲージメントともに、同じような項目が影響度上位を占めている。まずは、『従業員の意見が経営に活かされていると感じる』や『会社の戦略や方針を理解できている』、『業績に結び付かなくても、経営理念に沿った判断や行動が高く評価される』などの影響度が高く、戦略や方針への理解と共感を深め、経営姿勢が一貫していることが、若手社員の安心感や組織への信頼感につながると考えられる。また、『仕事を通じて、成長している実感が得られている』や『自分の知識やスキルを活かせる仕事である』、『成長を後押ししてくれる会社である』、『能力や実績は正当に評価されている』も影響度が高いが、仕事の適性や自身の成長をフィードバックにより実感できる環境づくりも重要である。その他、『他部門との協働や情報共有がスムーズである』ことも、仕事や職場に順応していくうえでは重要なポイントといえる。
※会社の施策やマネジメント、仕事そのものに関する全56設問のうち、エンゲージメントに対する影響度が高い上位の項目のみをプロットしています。

■30代

ワーク、組織エンゲージメントともに、『会社の戦略や方針を理解できている』や『会社の方向性や経営陣の言動には一貫性がある』が上位となっており、経営陣と従業員がブレずに方向性を共有することがエンゲージメント向上のための重要な要素であることが分かる。また、『仕事を通じて、成長している実感が得られている』に加えて、ワークエンゲージメントでは『幅広い知識やスキルが求められる仕事である』も上位となっており、より幅広いキャリアパスを描けるような成長支援も欠かせない。その他、『多様な価値観や意見が尊重される会社である』もワーク、組織エンゲージメントともに影響度が高いが、仕事や職場に順応し、一通りのスキルが身に付くこの年代では、自身のアイデンティティーが発揮できる環境づくりも重要となる。また、『従業員のための福利厚生は充実している』も影響度が高いが、子育て世代ならではの傾向と考えられる。

■40代

ワーク、組織エンゲージメントともに、『会社の戦略や方針を理解できている』が群を抜いて高い影響度となった。キャリア中盤となり、労働者から会社側の立場として自身の立ち位置が変わっていく年代であり、会社の方向性への理解や共感の重要度が増していると考えられる。また、『会社において、自らのキャリアを描けている』の影響度も高いが、組織内に腰を据えてじっくりと自身の将来を見据える年代なのであろう。その他、『能力や実績の評価基準は明確に定められている』がともに高いほか、ワークエンゲージメントでは『自分は職場から必要とされていると感じる』、組織エンゲージメントでは『社会に貢献できる仕事である』や『自分の仕事について裁量が十分に与えられている』も高い。一般的に業務負荷が最も重くなる年代であり、職場や仕事の状況がエンゲージメントに大きく影響しているようだ。

■50代

ワーク、組織エンゲージメントともに、『部門目標は会社の戦略や方針に基づいている』が最も高い影響度となった。部門の責任者やそれに準じた役割を担う年代ならではの傾向といえる。その他にも、ワークエンゲージメントでは『従業員の意見が経営に活かされていると感じる』、組織エンゲージメントでは『会社の方向性や経営陣の言動には一貫性がある』と、経営に関する項目が上位に位置づけられている。また、『自分は職場から必要とされていると感じる』、ワークエンゲージメントでは『会社や職場で、誰でもリーダーシップを発揮できる機会が十分にある』や『自分の仕事について裁量が十分に与えられている』も影響度が高く、自身の影響力が職場で発揮される環境であることが、この年代のエンゲージメント向上のポイントとなる。その他、『会社において、自らのキャリアを描けている』も上位となっており、将来にわたって安心して働ける環境づくりも課題といえる。

■60代

ワークエンゲージメントでは『部門目標は会社の戦略や方針に基づいている』が断トツの影響度となり、組織エンゲージメントでも『会社の戦略や方針を理解できている』や『従業員の意見が経営に活かされていると感じる』が上位を占めている。会社や経営陣と方向性を共有することが、この年代のエンゲージメント向上のための一番の要素といえる。また、『自分の知識やスキルを活かせる仕事である』や『仕事を通じて、成長している実感が得られている』、組織エンゲージメントでは『成長を後押ししてくれる会社である』の影響度も高い。各人のスキルを正しく把握し活用する、さらなる成長を促すといったことが、シニア世代の活躍、活用における重要な施策と考えられる。

<重回帰分析まとめ>

年代別に重回帰分析を行った結果、ワークエンゲージメントや組織エンゲージメントを高める要素は年代によって異なることが明らかになりました。これは、仕事や職場への適応期である「20代」、スキルが深化し業務の負荷や幅広さが増す「30代」、チームや部門の中心となり責任も増す「40代」、組織の方向性を決め戦略的な役割を担う「50代」、豊富な経験と知識を次世代に伝え組織の持続的な発展に寄与する「60代」と、組織における役割や立場の変化に伴い従業員の意識や価値観、組織への向き合い方が変化するためと考えられます。採用難の今日にあって、現有の従業員を最大限に活用するためには、各年代の特徴を的確に把握し、施策やマネジメントに活用することが不可欠です。
また、今回の調査は市場調査ですが、会社別に分析すると、その会社のマネジメントスタイルや企業文化、企業風土の違いが色濃く反映され、エンゲージメント向上における年代別の課題はまさに十人十色となります。すなわち、「会社の方向性への共感」や「経営陣と従業員のコミュニケーションの強化」、「組織の心理的安全性の向上」といった一般論が、自社のエンゲージメント向上に必ずしも効果的とは限りません。したがって、エンゲージメント調査を実施し、そこで得られた自社の実態を踏まえて、独自のエンゲージメント向上策を策定・実践することが重要です。
なお、重回帰分析はあくまでも調査結果に基づく分析手法であり、そこから導き出された施策がすべての従業員に対して一様に有効であるとは限りません。また、現時点での重点施策が将来にわたっても有効であり続ける保証はありません。従業員のエンゲージメントを持続的に向上させるためには、分析で得られた重点施策を出発点として、実行と検証を繰り返しながら、組織の変化や従業員のニーズに合わせて柔軟に改善を重ねていく粘り強い取り組みが不可欠です。

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